性的な内容や直接的な描写はありませんが、ここからの閲覧は自己責任でお願いします。
鼠人たちの蔦と枝のもつれに囚われ、精神の全てを剥ぎ取られた工匠の抜け殻を見下ろす。それは、かつてあれ程までに力強く恐ろしく見えたのが嘘のようだった。
(それは、君たちの分け前だ)
声には出さずに呟いて、ジェイスは訝しげに彼を見る鼠人たちに背を向けて次元を渡り始めた――左手は折られた肋骨のあたりを握りしめながら、そして右手には彼の『分け前』を抱えながら。
鈍い輝きを放つ金属の腕。無限連合の長たる工匠テゼレットの力の根本そのものであるエーテリウムの腕が、ジェイスが駒となることを強いられたこのゲームで彼が得た唯一の『戦利品』だった。その代償にジェイスは多くのものを失った……己自身に対して愚かしくも無知でいられた日々、尊厳と自由、友人たち、初めて知った恋……そして、己の半身にも等しい親友を。その内の多くはテゼレットがジェイスから奪ったものだった。あれほど恐れ憎んだ男を倒し、ようやくその軛から解放されたはずなのに、なぜ自分の頬が濡れているのかジェイスには判らなかった。
久遠の闇の荒れ狂う霊気に涙が溶けていった時、ようやくジェイスは失ったものをもう一つ気付いた――誰よりもジェイスを理解し、そして理解しなかった師を。
ジェイスはその腕に抱えた師の忘れ形見を抱き寄せる。それによってテゼレットに触れられることはジェイスを苦痛と支配の予兆で脅かしたが、テゼレットが何か細工物をしたり本をめくって見せたりする時に、複雑で優美な作りの手首が滑らかに動くところは好きだった。ジェイスはそこにそっと唇を寄せると、フードの縁で目のふちを拭ってから柔らかく微笑んだ。
「カリストが知ったら、また怒るだろうな……いや、呆れるかも」
誰に聴かせるわけでもなく、ひとりごちる。混沌の霊気へと混じり合う追憶をも振りきって、若きプレインズウォーカーは現実世界への帷を一歩踏み出した。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
O 。
, ─ヽ
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|__|__|__|_ __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________
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|_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
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────────(~~ヽ::::::::::::|/ = 完 =
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