Agents of Artifice :A Planeswalker Novel
Sample chapter by Ari Marmellhttp://www.wizards.com/Magic/Novels/Product.aspx?x=mtg/novels/product/agentsofartifice/sample
を訳出します。
サンプルですがかなり長いですので、数回に分けて掲載していきます。今回は序章です。小説であるために原文を重視しまして、普段よりかなり直訳調の部分も多くなっております。
あくまで英語力の低い筆者の勉強として訳してますので全くの誤訳や勘違いなども存在する可能性があります。もし見つけられた方はご教示くださると嬉しく思います。
Agents of Artifice(策謀の工作員)
Prologue
その者は時間が意味を成さない場所を歩く。
風は吹いていたが、それは風ではなかった。源もなく、方向もないが、それは衣服は別にして余所者の髪を一つの方向になびかせていた。それは不毛の砂漠の一陣の熱い風、渦巻くブリザードの極寒の息だった。それはなにかを育むにおい、ひりつく死のにおい、そしてあらゆる正気の世界における未知のにおいが生じていた。
大地は廻ったが、着地しなかった。移り変わる灰色と黒の――色が欠けていてさえも色ではなく、流砂よりも当てにならない表面を型作っていた。ほとんど空と呼ぶことが出来ず、曲がりくねった炎の川や稲妻、流動する大地や鋸歯のような水、純粋なマナは、それを通し、その下に深く、その上に高くあった。迷える一陣の風によって上天で生まれた人間の目では見る事の出来ない色は頭上を飛び交い、凝固する事を拒み、忘れられし真の翼によって飛び立った。過去と未来の世界の山脈は、選ばれなかった未来たちが他のものに悲しまれることがないという現実に悲痛な涙を流させた。
混沌。夢物語。狂気。
それは久遠の闇。
遠く背後に、更に遠くに降りる粘るような光の幕は、無限に近い多元宇宙の多くの世界の純粋な創造の気が狂わんばかりの広大さを切り分けていた。この世界について特別なものは何も無かった。少なくとも外から見た時ではなく、その者がそこから来て、すぐに戻らなければならない退避場所であった。
その者。世界を超えたこの領域ではそれが全てだった。彼女は男だったか?彼は女だったか?背が低いか高いか?人間かエルフかゴブリン、天使か悪霊、またはジンだったか?おそらく、そのどれにしてもそのことは重要ではなかった。普通の死すべき者は誰でも、肉体と精神そして魂を歪んだ大渦巻によってばらばらに割かれて吸収されて、失われているだろう。それは違った。その者の魂の中で燃える灯は久遠の闇自身によって据え付けられ、プレインズウォーカーはその潮流を闊歩した。そして、世界の間の気が狂いそうな混沌は道を歩く時のただのわずかな邪魔ものにすぎなかった。
危険と嫌悪感は置いておいて、その者はどれくらい長い間かかるかを知っているかのように、ますます前へ進むのを続けるのに耐えた。恐らく全ての心臓の鼓動と、あるいはほんの百年が経った時に、最終的に別の光の幕が不安定に掻き乱された中からぼんやりと現れた。旅人は通り抜けて新しい現実に生じて、再び現実の世界の固い大地の上に立った。
その世界はずっと昔に滅びていたので、そこには名前がなかった。風もなく、淀んだほとんど毒の空気が大地に重く圧し掛かっていた。何の面白みもない等高線をぶち壊すような山も木も無く、ただ、細かい塵だけがこの世界の表皮を覆っていた。長い間静まりかえっていて、生気もなく、荒涼とした……
密やかな。
そこについに他者が現れるまで、そのプレインズウォーカーは立っていて、待ち、歩き回り、そしてまた長い間待った。
待つ事が終わるという考えは不安を取り除かなかった。それはまもなく来るだろう。いや、替わりに考えたことはこうだった。『次の時は自分が待ち合わせ場所を選ぶ!』と。
もちろん、それを言うのは賢明ではないだろう。ゆえに、その者は尊敬を示す程度に深く、『私は貴方を恐れていない』と示す程度に浅く一礼した。
「ご決断なさいましたか?」
もう一者は長い間瞬きもせずに凝視していた。
「うむ。もっと良い質問は多分『貴方は今でも確信してますか?』だろうな」
そのウォーカーはこのように風変わりな問答において奇妙にも世俗的な身振りで肩をすくめた。
「私はこれにあまりにも多くの時間をかけましたので、今から約束を違えるには入れ込み過ぎました。貴方もご存知でしょう」
「この入り組んだ計画はそなたが持ち掛けたものだ。迷路のように複雑だ。我がものを我に引き渡すつもりならば、多くの事を厳密に運ばねばなるまい」
もう一者は肩をすくめた。
「私の契約は満了するまであまりにも長きにわたっております。私は恰も損をするために多くを賭けたという訳ではありません」
「その通りだ」
一者は譲歩した。
「そしてこのように私は庇護されております。もし私がそれを追い求めて、探し当てたとしたら――」
「うむ、うむ。そうお前は申開きをしたな」
そのウォーカーは沈黙に陥ってしまい、その静寂さは時代に全世界にわたって拡がっていった。
「現在、何をしなければならないのかね?」
その時、一者は尋ねた。
「精神の話し手がお前から真実を正確に引き出せないように請け合うことが出来ると?」
深呼吸を一回、二回、三回。急ぎ乱れる心臓を落ち着かせる。
「そういたします」
「では、動くな」
一者が人間のものではない指を差し伸ばして、プレインズウォーカーの精神と魂に達し――ああ、とても慎重に包み隠し始めたとき――その時には、久遠の闇の轟きさえも掻き消すくらいに、息もつかせぬほどの終わり無き悲鳴しかそこにはなかった。
(序章終わり。第一章に続く)
なんという挑戦を始めたのですか!
返信削除全力で応援します~♪
(Agents of Artificeは難しいから私はやりたくないしぃ…本音っ)
ありがとうございます。
返信削除正直、とんでもないものに手を出してしまった気がします…意味自体は分かってても日本語化が思った以上に難しくて!サンプルなので短いはず、と思ってましたら意外と長かったのですが愛で頑張ります。
更新お疲れ様です><まゆげです。
返信削除そしてなんという俺得更新!
今回もありがたく手を合わせて
拝見させていただきました><
これはどう考えてもボーラスとリリアナ…
しょっぱなから彼女の計画が狂うフラグが
びしびし漂っております。
これからももっとジェイス君に狂わされると良いと思います!
ご覧いただきありがとうございます、そのようなお言葉が励みになります!
返信削除周到に用意された悪の計画、しかも物語の冒頭から秘密会議やっちゃうだなんてどうみても失敗フラグですね…。
ジェイスとリリアナはお互いに人生を「こんなはずじゃなかった」にしていくといいと思います。
初めまして。英語能力皆無の僕ですが、ジェイス萌えなので翻訳に挑戦してみようと思っています。参考にさせてもらいますね!
返信削除ちなみに僕の英語能力は、
All that glitters is not gold.
を、
すべてのグリッターズは金を生み出すことに失敗した。
と訳すレヴェルです。グリッターズっていうのは、地底に住む毛むくじゃらの小人的な設定です。
>きまいちさん
返信削除はじめまして、コメントありがとうございます!
AoAはジェイス萌えの方には必携の書といっても過言ではないくらいの萌えの宝庫ですのでぜひとも挑戦なさってください。
初期の翻訳、とくにこれは敢えて直訳調にしておりますので読みにくくてお恥ずかしいですが(*ノノ)