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2011/03/02

【MtG:StF私家訳】連合報告書:『目』における異変

Awakeningsが訳出終了いたしましたので、今回はその内容に関する記事を訳出してみます。


Consortium Report: "The Incident at the Eye."
Savor the Flavor: by.Jenna Helland 2010年1月20日
http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/stf/74


無限連合(Infinite Consortium)による、アノワン先生の詳しい生態?とウギンの目において起こった事件についての報告書です。

あくまで英語力の低い筆者の勉強として訳してますので誤訳、勘違いなどもあると思います。お気付きになられましたらご教示くださると助かります。


(ここから)

連合報告書:『目』における異変

位置:ゼンディカー
対象人物:ゲト家のアノワン
年齢:不明。最も信頼できる筋によるとアノワンは数百歳であるということだが、正確な年齢については確認できなかった。
現在位置:不明

可能であるならば、我々は証人に対して直接的な尋問を用いる。
しかしながら、幾人かの非協力的対象には身体の拘束と精神を総浚いにする網が必要であることが実証された。

ゼンディカーは地質学的な、そして恐らくは宇宙的な根本の変化の只中にある。我々はアクームの近頃の事件が、この次元の不安定性の増加に関連付けられるといういかなる確証も見つけることは出来なかったが、全ての手がかりがこれらの出来事の間における相関関係を示している。


アノワン伝

知られているのはこれだけだ。
アノワンはマラキールの強大な吸血鬼血族の貴公子だ。彼は遺跡、神秘文字および古代言語の専門家である。謎の解答への彼の苛烈な探索は、タジームからアクームまでの道を死体で敷き詰めた。賢明かつ非情、アノワンは重大な注目すべき脅威だ。

調査の間、それは錯綜する情報を一致させる試みとなった。ゼンディカー一帯の集落では、アノワンは名高い魔道士であり、アクームの山から彼のベースキャンプの遠征を率いる慈悲深い学者であると見做されていた。彼の信奉者の働きもあって、己のイメージを遺跡と秘密の言語を扱う専門家にして珍奇な遺物と難問を伴う男として培った。

しかし、アノワンの背信について語る者たちもいる。多くが彼を盗賊や殺人者と呼ぶ。マラキールの吸血鬼たちはアノワンを無慈悲な力の求道者と思っているが、しかし彼らは不承不承の敬意を持って彼を見る。そして最も重要なのは、既に危険なこの次元を現在、更に危機に陥れている不安定性の増加を止められるのはアノワンであると何人かの学者や冒険家たちが思っているということだ。


血の長テニハス(Tenihas)の殺害

マラキールにてカラストリア家からの後援を得た後、我々はカラストリア管区地下の巨大な房に収容されている都市の系図記録を検索する事ができた。吸血鬼の家系への関心の強さにより、記録は膨大だった。残念なことに、我々はアノワンの人生の基本的な詳細を年齢すら確認する事は出来なかった。いくつかの記録は破壊され、多くの見出しは血痕で曖昧にされるかナイフによって削ぎ取られており、判読不可能だった。

若年期の間、アノワンはゲト家において、血の長テニハスの後見による『長男』であった。彼の『出生』の正確な方法は記録されてはないが、アノワンはテニハスを父親的存在と見なしていた。そして、血の長も己の相続人を尊重するように思えた。

アノワンはテニハスの広大な図書館の中でも特に、『餓えた神』への吸血鬼の隷属状態を暗示する古代の原典に心を奪われたと誰もが語った。どうやら、その古代の隷属については吸血鬼の歴史の中では漠然とは覚えられてはいるが、余りよく判っていない側面のようだ。その圧制者がどうなったかは知られていない。証人によると、葬り去るべき過去のものを明るみに出すような行為を彼の若い被保護者にして欲しくなかったことが、テニハスとアノワンの間に敵意を引き起こした秘密とのことだ。

ある夜、テニハスは自分の寝室で無惨にも殺害された――彼の従者は虐殺され、収蔵していた宝物は奪われていた。唯一の生き残りの目撃者は、アノワンがつい逆上して血の長を殺し、姿を消したと断言した。アノワンは数十年は故郷には帰らなかった。その年月の間に、テニハスの殺害に纏わる語り草はほとんど神話と呼ぶのに相応しいまでに成長した。



海門への潜入

アノワンは次の数十年を売剣として過ごし、その剣呑な探検の中で魔道士と戦士としての技能を磨き上げた。この時期についての最も信頼できる情報はバーラ・ゲド探検協会からきており、アノワンはそこで短期間契約していた。出稼ぎの間、古代言語の異種を解読し、数百もの神秘文字の巻物と数百の遺物を蒐集した。いきさつは記憶からは失われていたが、今では『ドラゴンの炎』として知られる強力な巻物をある探検の時に手に入れた。その後すぐにアノワンは探検家協会への忠誠を放棄して、バーラ・ゲドから姿を晦ました。
数年後、カジャール(Kejahar)と名乗る青年が海門の灯台に現れた。彼は魔法の技と古代世界の知識によって、駐在していた学者たちに感銘を与えた。また、彼はいくつかの強力な遺物を所有しており、それは神秘的な異邦人への学者たちの好奇心をますます煽った。ある人物のいくつかの記述に基づくと、それが変装したアノワンであることは確実である。彼はすぐに灯台の共同体の好意を獲得した。彼はマーフォークの探検隊と手広く旅をし、ゼンディカーで最も大きな蔵書量を誇る灯台の図書館で膨大な時間を時間を過ごした。

吸血鬼としての彼の本性を否定することになるが、これはアノワンの人生においてもっとも幸福な時間の一つだったのかもしれない。そこには殺人や盗みの気配もなく、アノワンは暗い目的もなしに真に知識を追い求めていたように思える。ある時、灯台の路地で若いコーの女が殺害され、打ち捨てられていた。彼女はアノワンとは知己であり、その事件は彼のせいにされた。民兵による取調べの中、アノワンの吸血鬼としての本性が顕にされた。町の住民はアノワンを撲殺寸前まで打ち据え、岸壁の上から彼の体を投げ込んだ。彼がどうやってハリマーでの眩暈のするような落下から生き長らえたのかは判っていない。

強制的な出立をさせられたことによってアノワンは多くの所有物を灯台に残しており、世話人はそれを我々が見ることを許可した。残念ながらアノワンの残していった物の中にはドラゴンの炎の巻物はなかった。しかし、巻物を読んだ学者の一人によると、それはアノワンの最大の関心事のはじまりである『ウギン』という名前だった。


殺戮の祭壇における大虐殺

海門における臨死体験はアノワンの人生の転機だったように思われる。それ以来、目的を果たすためなら盗みも見境もなく殺すことも厭わなくなった。我々はアノワンの信奉者にとってさえ周知されていない出来事の目撃者を見つけだした。

サブラ(Sabra)という女は、探検の最中にムラーサのジャングルの遺跡にある殺戮の祭壇にて、吸血鬼に遭遇したと証言した。サブラの許可の下、我々は彼女の精神を魔法によって浚い出し、真実を言っていることを確認した。また、彼女の首を損なう縄のような傷跡はその話を裏付けている。

サブラが新人の売剣としてムラーサ探検者協会からの最初の探検の話だった。彼女の一行はこの象徴(訳者注:文章右隣にドラゴンの絵が貼られている)のある櫃を見つけるために雇われた。

サブラを雇ったものは『人智を越えた者』であり、殺戮の祭壇の地下の墓へ導く地図を一行に提供した。探検は、最初から様々な難題によって悩まされた。物資は紛失し続け、ハルダの群れは恐らくは穢れた水による奇怪な病気で死んだ。ある夜、癒し手が寝袋から引きずりだされ、キャンプファイアの明かりのすぐ向こうで内臓を抜かれていた――誰も、何の音も聞くこともなく。

この数日の間、サブラは荒れ野を通る彼らのあらゆる移動に何者かがついて来ていることを確信していた。彼らは一度は墓の中で櫃のある場所を見つけたが、すぐさま『憎しみの悪夢』に攻撃された。詳しい情報を強いて求めると、ヒドラと野獣の骸骨との合いの子のような生物であることを説明した。一行の大半はこの戦闘によって虐殺されたが、サブラは致命的な一撃でその怪物を殴りつけた。彼女は一旦は櫃を取り戻したが、隠れていた敵は影より現れ、彼女の首を掻き切った。地面に倒れ、意識を失う直前に彼女は攻撃者を一目見た。彼女を殺しそこなった者は疑いようもなくアノワンだった。

更なる調査の後、我々はアクームの山々の遺跡に隠されていると言われているウギンの目に関する重要な情報が櫃には封じ込めてあると考えた。神秘のウギンについては少しの事しか知られていない。しかしこの時、答えを求めるアノワンの探求は妄執へとなった。


アノワンの同盟の起源

今、アノワンは異常なまでの決心をもってしてウギンの目を追い求めた。しかし、それは幾度も彼の手をすり抜けていった。彼はアクームのベースキャンプに有象無象の集団を形成し、目を際限なく捜し求め、邪魔をする者は人知れず死んでいった。一般的に知れ渡っている遺跡の賢者としての彼の名声は、援助と打開策を求めてくる冒険家たちを集めるのに特に有用であることが判った。彼らの遺物や知識は、目を求めるアノワンの探索に利用された。彼の信奉者たちの記憶には多くの殺人が留められており、アクームの岩だらけの景観の向こう側に、疑うことを知らなかった冒険家たちの死体がどれだけばら撒かれて横たわっているかは想像するしかない。

そして、チャンドラ・ナラーが彼のベースキャンプにやってきた。

彼の信奉者(別の非協力的な証人)の一人によると、アノワンは長い間捜し求めてきた目に通ずる地図をチャンドラが暗記していると思っていた。彼はウギンの目を見出すまで荒れ野を案内し、そして彼女を殺すことを目論んだ。アノワンとチャンドラが荒れ野から一旦姿を消したのがその信奉者がみた最後の彼の姿だった。ジェイス・ベレレンとその案内人がウギンの目付近で錯乱させられたアノワンと出会うまでは。

我々は物騒になった目を物色してまわったが、この空洞から何が解き放たれたのかは正確に判断できなかった。洞窟の壁に沿って死体が吊るされていた。崩れた歩道の下は血溜まりの池となっていた。ゼンディカーの全てを脅かすものと同じように、不穏な空気と時々発生する振動がそこにはあった。三人目のプレインズウォーカーとの戦闘の間に、チャンドラは透明な炎に包み込まれたが、これが彼女の生理機能や魔法の技術にどのような影響を与えたのかは判ってはいない。目における変化は、何かが開いたのか、そうでないとすれば元に戻されたことを示している。

アノワンは最後に遺跡付近で困窮している状態で目撃された。更なる観測が必要だ。この件は解決しないまま残っている。


脅威度:高


ジェイス・ベレレンの要請により作成。

(訳ここまで)


ジェイスがゼンディカーに赴いた際の報告を、連合職員がレポートに纏めた(一見、ジェイスとは別の第三者が話者のようですが、話者自身が精神を読んでいる描写があります)という設定の掌編です。この時点の彼はもう工作員ではありません。テゼレットを放逐し、無限連合の実質的支配者となっています。

記されている内容はJourny to the Eyeで描かれた過去エピソード、Awakenings、次のコミックであるEnter the Eldraziの最中の描かれていないエピソード(アノワンの信奉者への尋問、マラキールや海門の灯台での調査など)でしょう。
カラストリア家や探検協会に協力を求めたりと、新連合もなかなか活動的なようです。それにしても元多次元間陰謀団だけあって、冒頭で結構物騒なことを言っています。それでも旧連合に比べればかなり穏やかですが。

コミックですとPWに襲いかかってはしばかれてばかりという印象の強いアノワン先生ですが、意外な面がここで見えてます。話者であるジェイスとはいくつかの共通点が見出せるためか、レポートの中にも特に海門での出来事については微妙な共感がうかがえる気がします。

世間への顔と実際の行動、そしてそのどちらでもない何か、とアノワン先生はなかなか複雑なキャラクターの持ち主です。
しかし、サブラを雇ったものは…気になりますね。

貴公子、冷酷非情、知的、いにしえの神秘の専門家、吸血鬼、一見紳士、時にはワイルド、暗い過去、裏切り、セクシーな胸板、とこれでもかといわんばかりに欧米のヴァンパイアロマンスの萌えキャラみたいな要素がてんこもりのアノワン先生。やはり海外の女性MtGファンたちにはキャアキャア言われているのでしょうか。残念ながら、今のところは寡聞にも知りませんが…カリタスならみかけましたが。

もちろん、私はアノワン先生を素晴らしい魅力的なキャラクターだと思っています。
WotCは早くデュエルデッキ:アノワンvsチャンドラ&ジェイスwithサルカンを出すべき。

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