イニストラード発売も目前なのに本当に今更ですが、M12基本セットのファットパック同梱プレイヤーズガイドにありました各色の特徴&代表カードのロングフレイバーを訳出します。PWについての文章は公式のPWミニサイト紹介文の使い回しでしたので割愛します。
あくまで英語力の低い筆者の勉強として訳してますので全くの誤訳や勘違いなども存在する可能性があります。もし見つけられた方はご教示くださると嬉しく思います。
(訳ここから)
・白
白は集団の色です。一斉に動くことによって、社会や軍隊は成員がそれぞれ個々である時よりも遙かに強力になります。法が守られる限り、安全が伴うことでしょう。
《清浄の名誉/Honor of the Pure》
数千もの人影が草深い辺境に対して不動のままにいた。列また列、縦隊また縦隊、軍団は完璧な隊列で整列した。
彼らは共に立つ。彼らは共に呼吸する。そして、言外の命令で臨戦態勢となり、大隊の各員は完全な調和を持って前方へと一歩を踏み出す。
夥しい軍勢の大移動は開始した――だが彼らの敵が聞くのはただ一つの轟くような足音のみだ。
・青
青は思考の色です。精神には発見や創案だけでなく、操作や欺瞞への限りない潜在能力があります。もしあなたが何かを想像するならば、あなたはそれを創造することが出来ます。
《非実在の王/Lord of the Unreal》
彼は灯りのない回廊を滑るように通る。音を立てないのを確実にするために、粗削りの床のすぐ上に浮遊して。
彼は大魔導師の研究室に行き着いた。今回は抉じ開けるべき鍵も幻惑するべき衛兵も無かった。彼が霧消し硬石を真っ直ぐに通り抜ける前に、微笑みが彼の透き通った顔を横切って揺れた。
要するに、彼は現実の存在というわけではなかった……。
・黒
黒は死の色です。生命を奪い、死者を復活させる事も厭わぬ意思は、そこに到達するほどの闇の者にとっては計り知れないほどのパワーの源です。残酷さは便利な道具になりうるでしょう。
《苛まれし魂/Tormented Soul》
月は威圧するように彼を見下ろし、青ざめた光は彼の虚ろな目に照り返る。
彼は感じた……何を?寒さ?風は彼のぼろぼろの服を鞭打つが、だが違う。
孤独?彼の妻と子供たちの姿は彼のぼんやりした精神にちらつくが、だが違う。
今も尚、彼の家族の幻視は彼の精神の名残の中の何か深いものを掻き立てた――餓えを。
そう、それだ。彼は餓えを感じている。
涎の滴りを締りのない口から漏れ出させながら、彼は家へとよろよろと歩き始めた。
・赤
赤は衝動の色です。人生は心から楽しむために用意された一連の行動です。それに属する最も活気に満ちた者たちは炎のような情熱を燃やします。一刻も休まることはありません。考えるより行動するのです。
《ゴブリンの酋長/Goblin Chieftain》
彼は暴風雨の中を駆け抜ける、世界とそれ以上に自分自身に怒りながら。
一族の炎試しとなることへの彼の試みは、石医師や溶岩潜りやドラゴン馴らしへの適性試験と同じく惨めな失敗に終わった。彼は決して重要な地位をつかめないのか?空に向かって拳を振り回しながら、彼は己が知るあらゆる罵言をわめき散らした。
まるでそれに応えるかのように、空はジグザグに走る稲妻を解き放って彼の突き立てられた金属の籠手に触れた。しばらくして、落下地点から黒焦げで煙が立つ体を伸ばした時、彼は歓喜の叫び声を放った。
一族には長年稲妻捕えが居ない!
・緑
緑は自然の色です。絶えず変化する広大な生態系の中で、誰しもが、そして全てが絡み合います。進化するもののみが生き残ります。
《ガラクの仲間/Garruk's Companion》
彼女は止まり木から跳ねる、弓をしっかりと手に掴んで。下生えの中で小枝が折れる音は彼女を更に前へ前へと駆り立て、下へ下へと飛び移ると木々はかすんで見えた。
追跡に心を躍らせ、その踏み跡がどれだけ後を追いやすいかを彼女は気に留めなかった――足跡がどれほど目立っているかや、茨がどれほど派手にへし折られているかを――自身が拓けた場所でいくつもの目に、耳に、牙に囲まれていると気がつくまで。
その時やっと彼女は悟った、誰が狩人で誰が獲物かを。
・アーティファクト
アーティファクトとは多元宇宙の至る所で発見される遺物や品物のことです。あるものは古代の杖や神聖な秘薬のような神秘的な物です。他にはありふれた物として、無骨な戦闘用鎧や猛々しい武器などがあります。
《流転の護符/Quicksilver Amulet》
彼女は左手にそっと宝石を持ち、次に右手に持ち替えた。それは微かな赤みがかった輝きと低い唸りを放っていた。それは……期待はずれだった。彼女は唖然として眉根を寄せた。
彼女は600年もの間、この魔法のものと思われるルビーの上に手を置いた最初の人間であり、その瞬間はもっと劇的なものになると期待していた。全ての神秘文字がその宝石は何かしらの能力を授けるだろうと示唆していたが、彼女は5分前より自分がより強力になったとは感じられなかった。
「墓荒しの評判なんて、あてにならないものね」
彼女がため息混じりに呟いた時、その後ろで長くうねうねした尾が心ならずもヒクヒクと蠢いた。
・土地
土地はあなたがプレインズウォーカーとして為すこと全ての基本要素です。あなたが訪れたことのある土地との繋がりによって、呪文の燃料となる魔法の活力源であるマナを使うことが出来ます。
《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》
彼は峰の絶頂よりじっと見下ろし、目の前に広がる息を飲むような全景の趣深さを見渡した。
泡で突端を飾られた波は宝石を散りばめられたような海から戯れて跳ねた。鳥たちは鬱蒼とした色濃い森の青々とした樹冠の上に輪を描く。嵐は轟音と共に濁った沼をひっくり返す。穀物の琥珀色の茎は平地を滑る軟風にそよぐ。
それは彼が今まで見た中でも最も雄大な景色だったが、これで全てじゃないと彼には判っていた――彼が見ることが出来たのは、まさに彼が立っているその山を除いた全てだった。
嬉々として、彼は下山し始めた。彼にはすべき探検がある。
(訳ここまで)
基本セットにはストーリーがないとは言いますが、それぞれの色の特徴を生かした短いながらも多くのフレーバーを持っている小話ではないでしょうか。名も無きプレインズウォーカーの見知らぬ次元での冒険の始まりである土地の物語で締めているのが読後感を広がりあるものにしているのと同時に、これから新しい世界(=新セット)に繋がるプレインズウォーカーであるプレイヤーとも重ねあわせているのではないかとも感じました。
もうすぐ発売のイニストラードは非常にフレイバー重視のセットのようです。今からファットパックも楽しみにしております。
で、PWコミックはまだですかねWotCさん…?
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