Agents of Artifice :A Planeswalker Novel
Sample chapter by Ari Marmellhttp://www.wizards.com/Magic/Novels/Product.aspx?x=mtg/novels/product/agentsofartifice/sample
序章、第一章p4-7に続きまして、今回は第一章のp7-10までを訳出します。
原文を重視するためかなり直訳調の部分も多いです。
あくまで英語力の低い筆者の勉強として訳してますので全くの誤訳や勘違いなども存在する可能性があります。もし見つけられた方はご教示くださると嬉しく思います。
Agents of Artifice(策謀の工作員)
Chpapter 1 :p7-10
ガリエルは核心を説きかったが、しかしその言葉は糊のように口蓋に貼り付いてしまっていた。
「さて……カリスト、見てみろよ。お前はあの女と一緒にいて――どれくらい?数ヶ月か?」
「ああ。あれ以来……」
彼はその文句を終えなかった。ガリエルが知る限りいつも、カリストはその文句を一度も終えたことはなかった。
「確かに、数カ月だ。もっと時間を与えればいい。つまり、あの女は明らかに終わらせていないか、わざわざ『いいえ』のためにお前に時間を割いたりしないってことだろ?恐らくはもう一年、いや三年……」
カリストは笑いを抑えきれず、その響きには毒草の毒が含まれていた。
「まさにな。いったん仲直りするためにリリアナがすることで、他の何かより多い唯一のことは、気が変わるってことさ」
事実、カリストが知る限りではリリアナは一度まさにそうしていた。
そしてまた、ガリエルは意見することにおいて彼ら両方をあまりにもよく知っていた。逃走する囚人のように彼の口から漏れた全ては、口をつぐんでいたほうが良かったと彼が考えることができる前に鋭い口調となって現れた。
「だから多分、お前はこんな良い暮らしをしてるってことだ」
彼は直ちに「すまない」と付け加えた。
「今のは悪かった」
「何でも無いさ、今夜は」
カリストは立ち上がり、霞んだ目を東南に向けた。
「俺は帰る」
「待てよ」
ガリエルもまた立ち上がって友人の肩に手を置いた。
「とにかく、あの女はどこにいるんだ?」
「隷属の終わりの祭りの間、彼女が他のどこにいるってんだ?」
ガリエルは本当にカッとなった。
「なんだって?」
もし人々が祭りの祝いに外に出ていなかったら、彼の喚き声は間違いなくこの通りの半分の人々を目覚めさせただろう。
「お前の言った通りとおりだな……」
カリストは肩をすくめ、僅かな微笑みを抑えられなかった。
「彼女が言うには、文句なしに素敵なダンスを台無しにする理由が全くないってさ。俺を引き止めさえしたさ。でも――ガリエル?どこに行くんだ?」
より体格のいい男は既に数ヤード先にいた。
「俺が行くのは」
彼は殆ど振り返らずに答えた。
「お前をこんな風に扱う女に一言文句を言ってやりにだよ」
「ガリエル、やめてくれ」
しかし、最も近くの曲がり道の付近には既に彼はいなかった。カリストがもしこれ程までに酒によってここまで疲れ果てて滅入っていなかったら、ガリエルを止めるか、少なくとも止めようとしたかもしれない。だがカリストはそうだったので、彼は頭をがっくりと垂れるだけで、寝入る前に酔った報いを受けることを望んで家まで足を引きずって歩いていった。
しかしながら、彼らがまだビターエンドの酒場にいることを望むのに、明朝がくるまでの間に彼は短い時間を割いた。
ギルドはすでに亡かったが、まるでその繁栄の時代を覚えていて、より騒々しい現代の時代から秩序が消え去っていくのを引き止めるかのように、ラヴニカの多くは今だにギルドパクトの祭りを祝っていた。ラヴニカの多くではあったが――全てではなかった。この次元のいくつかの地区では、ギルドの下で他よりも多く苦しんだのでそれが過ぎ去ったことへの喜びは苦しみと同じくらい少なくなかった。
例えばアヴァリックでは、いくつかの家族がオルゾフ組の高利貸しの総帥による事実上の農奴制によって長い間苦しい労働をさせられていた。いわゆる取引のギルドが崩壊したというのは、ここの市民が数千年の間に受け取った消息の中で最も素晴らしいものだった。
ビターエンドの壁や床、テーブルおよび椅子はアヴァリックの善良な人々が隷属の終わりを祝う地響きの中で揺れていた。一角では演奏者の群れが太鼓を激しく打ち鳴らし、様々な楽器の弦をかき鳴らし、様々な角笛は狂乱的な活気の中で無秩序な騒音を吹き鳴らしたが、なんとか実際に音楽として成り立たせていた。休憩室の辺りには、今の大いに攻め立てるような拍子のダンスの手拍子や足踏みについていけなく人々と踊り手たちの足取りが、床から蹴り上げるおが屑の雲と垂木から振り落とされた埃のシャワーをもたらした。明日の仕事が始まる前に、取り替えられる必要のある一握りの床板、一組の椅子、そしてマグと皿の大軍――しかしビターエンドはアヴァリックでの隷属の終わりの祭りを祝う最も大きな会場であり、それはバーテンにして酒場の所有者であるイシュリの受け持ちだった。
リリアナ・ヴェスは集まっている踊り手たちを、単におが屑だけにではなく期待に満ちた男達の心に欲望の対象として足跡つけて、性急にかき分けて通りぬけた。彼女の真夜中のような黒髪は彼女の頭が動くと暗闇の雲か、もしくは腐敗した光輪のようだった。彼女の乳白色のガウンは惑わすように深く切れ込み、上昇し、渦巻いて、下降し、からかう娼婦のように絶えずこれ以上にあらわになるべき約束をして、いつもそれを破ってのけた。
彼女は祝いの仲間の1ダースの腕を回転して縫っていくように通りぬけ、素早いダンスの激しい動きから深く息をついた。彼女の微笑は彼女の顔立ちを明らかにした――高く、いくらか鋭く、その顔のつくりは古典の美を僅かに思い描かせ、一目見るとすべての人が同意するくらいに美しかった――しかし、その笑顔は目には広がってはいなかった。彼女がこの祭りで自分自身を忘れようとしたにも関わらず、彼女を見て儚い単純な接触への望みで手を伸ばす人々の崇拝によってそうはできなかった。
彼はなんて馬鹿なの!罪悪感はリリアナがよく知っている感情ではなく、それが全く彼女の好みではないことはすぐに判った。
首尾よく歌に成りすましていた音色と拍子とリズムの奇妙な積み重ねは終わり、祝いに対するリリアナの見せかけの熱情も終わった。演奏者は多くの拍手喝采にお辞儀をして十分に値する休憩のために演台を離れ、戻るまでの間に魅惑された弦を楽器に預け、ゆっくりとして寂しい小唄を演奏した。数組のカップルは薄暗い音色に揺れて部屋の中央に留まったが、大部分はテーブルに戻って、より活気に満ちた曲を待った。
リリアナは仮住まいとした地域の人々が行くのを驚きの目で見た。彼らはすべて洒落た晴れ着を身に纏っていた――それは、ここアラヴィックでは短いのではなく長い袖のチュニックにあからさまな継ぎのないズボン、彼らの普段の茶色や灰色ではない薄い色のベストを意味していた。ここの人たちは誰も濃い染料や高価な飾りボタンや留め金を買うことは出来なかったが、しかし彼らは誇りを持って自分たちの『派手な服』を身につけていた。普段の菌類と沼の水溜りから捕った時折の魚かトカゲの類ではなく、赤身のステーキに散財した。そして、まるでそんな馬鹿げた贅沢が本当に何か意味があるかのように大いに楽しんだ。
(第一章 p11-13へ続く)
更新お疲れ様です!まゆげです。
返信削除ここ読んだんですが、なんでリリアナがダンスしてるのか
分からなかったんです…どうもありがとうございます。
ラブニカの描写も細かくてイメージがわきやすいです。
そして、本当にどーしょーもないですね!このくそビッチは(笑)
悪魔との仕事(?)の中にも遊ぶことを忘れないその余裕もある意味ですごいといいますか…。
「顔は笑っているけど目は笑っていない」の描写がとてもすきです(笑)
カリスト君のうなだれ具合が泣かされます…。
ジェイスージェイスはまだかーと
一読者として思ってしまいますw
いらっしゃいませ、読んで下さりありがとうございます。
返信削除この小説はラヴニカに限らず、情景や生活の描写が多いのでイメージするのが楽しくなりますね。
それにしても一般市民にギルド嫌われすぎw
リリアナさんのどうしようもないビッチっぷりはたまりませんな!さすがは黒といいますか。ママが結婚を許してくれない美女No1なだけに。
カリストくんのうらぶれっぷりは本当に涙を誘います…。
キャラ小説なのに主役の名前が全然でてこないって、すごい作品ですよね。良く考えなくても。