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2011/03/26

【MtG:PWノベル私家訳】策謀の工作員 サンプルチャプター p11-13

Agents of Artifice :A Planeswalker Novel
Sample chapter by Ari Marmell
http://www.wizards.com/Magic/Novels/Product.aspx?x=mtg/novels/product/agentsofartifice/sample

序章第一章p4-7p7-10に続きまして、今回は第一章のp11-13までを訳出します。
原文を重視するためかなり直訳調の部分も多いです。

あくまで英語力の低い筆者の勉強として訳してますので全くの誤訳や勘違いなども存在する可能性があります。もし見つけられた方はご教示くださると嬉しく思います。



Agents of Artifice(策謀の工作員)
Chpapter 1 :p11-13

 リリアナはそれを何も理解していなかった。彼女はそれが良いことと認め、尊重さえしていたが、しかし理解はしていなかった。

 彼女がテーブルに軽やかに歩いてもどった時に、リリアナは群衆を通して近づく人物が彼女の渇きを癒す一杯の苦いビールを手渡してくるのを見つけた。酒場の所有者はその粗暴な顔つきを恐らく素敵な微笑のつもりで破顔して、もさもさに伸びた髭ごしに彼女をいやらしい目付きで見た。二本のソーセージのような親指が、おそらくは立派な衣服に注意を引こうと黒く厚いベストのポケットに掛けられていた。その酔いどれは、よくカリストが腹を立てて夕べを台無しにして憤然として去るまで、夜通し彼女を眺めていた。毎晩、少なくとも一回は絶えずあり、彼女は長い間、彼が口説く勇気を持てるのに充分なくらい飲むのに、どれくらいかかるのかと思っていた。

「気付かないわけにはいきませんよ」

 彼はビールによってくどくなった声で不明瞭に発音した。

「あなたがやっとあの痩せこけたお友達を追っ払ったのにね。それはあなたが本物の男といつか共に過ごすことに興味があることを意味するのですか?」
 良い雰囲気ならば、リリアナはその酔っ払いに彼の地獄のような人生を見出すように言う前に、そこに留まって軽くいちゃつくようにしたかもしれない。しかし、今夜は違った。

 リリアナはテーブルから、焼き過ぎたステーキの残りの染みのまだ付いたディナーナイフを持ち上げた。

「今すぐあっちにいかないのなら」

 彼女は甘く言った。

「あなたはとても長い間、『本物の男』じゃなくなるわ」

 その瞬間、彼らの顔の向こう側に常識と喧嘩腰なプライドの闘いが吹き荒れた――しかし最終的に、おそらくはリリアナの目の異様な閃きによって助けられ、そこでは常識が勝利した。ぶつくさ言いながら彼は引きずり歩きで自分のテーブルに戻り、そこでいかに彼がその女の求愛を退けたかについて友人たちに語るだろう。

 リリアナは椅子に低く腰を下ろして一度ため息をついて、カリストがこのやりとりをここで見ていたらと、何時になく願っている自分自身に気がついた。ろくでなしめ、彼女は再びマグに触れて。もう一度考えた。それが一つのことでないとすれば。

「おい!そこの売女!」

 これは別のものだった。

 酒場の中の大半が、たった今、正面の扉からブーツで泥を撒き散らした跡を残しながら大股で入ってきた大柄な色黒の男の方を向いたが、リリアナは彼の呼びかけが誰に対してのつもりかを既に的確に判っていた。彼女は婉然と立ち上がり、最も魅力的な微笑を向けた。

「ガリエル、あなたにも隷属の終わりの喜びを」

「『隷属の終わりの喜び』なんか俺にはない、くそっ!」

 ゆっくりと踊るカップルたちを押しのけて彼女のテーブルの前に立つと、彼はうなり声をあげた。

「一体あんたは何を考えて――」

 彼らは手練だ。彼女に実際考える時間があった時、後にリリアナはそう思ったが、その時間は彼らに与えなければならなかった。刃物がガリエルの肩から彼女に向かって疾るまで、彼女はそれらに全く気がついていなかった。

 警告の叫びをあげる時間さえ全くなかった。リリアナはガリエルの腹部に鋭く膝で蹴り上げ――カリストの友人としての彼への十分の敬意を払ってあまり下の方には当てず――彼の肩を捉えて折り曲げ、彼の体重を利用して彼女の椅子の後方へ二人ともどもひっくり返した。それは見事でもなく、優雅でもなかったが、心臓の半拍の余裕を持って突然の剣の円弧から彼らを抜け出させた。

 椅子のガタガタいう音の中、二人が床に叩きつけられた音は騒音を貫くほどに派手だった。まず最初に二人が、さらに片手で数えられるほどが夕食や踊り手から顔を背けて彼らを見つめた。静かな池の漣のように、ビターエンドを通じて何かに気がつく事が拡がっても、あまり事態が改善されるようにはならなかった。

 リリアナは座席の木の縁に横腹を打ち当てて痛々しく喘いだが、それに転がり込むのを止めなかった。彼らの体は椅子を支点のようにして向こう側に傾くと、彼女の頭は堅木の床に打ち付けられたが、彼女は出来る限りそれを無視した。彼らが落下したとき彼女はガリエルへの掴み方をひねって、彼が自分の上にまともに落ちてこないようにした。彼女は素早く足で引っ掻き回すと、襲撃者との間にテーブルを保っておこうと彼が床で喘ぐままにしておいた。

 いいえ。襲撃者は複数。くそっ。

 確かに、彼らはここにおいては他所者だった。アヴァリックは小さかったが、すべての人が他の人みんなの顔を見知ることが出来るくらい小さかったわけではなかった。遠くから、次に彼ら二つは完全に溶け込んだ。どちらもだいたい平均的な背丈で、家に帰って更に酒を飲む前に、長い一日の労働の後に飲みに行った労働者のような服に身を包んでいた。しかし近くで見ると、彼らの冷たく、無表情な目は、彼らを完全に他の何者かとして特徴付けていた。

p13-14に続く)

2 件のコメント:

  1. 翻訳お疲れ様です!まゆげです。
    リリアナって男なら誰でも良いと思ってたけど、
    意外とヒゲマッチョとかタイプじゃないのかも(爆)
    カリスト君に近づいたのも計画のうちな気がしますが、
    なにげに彼を気に入ってるのはやっぱ外見のせい?

    ガリエルもいきなり女性に刃物を突きつけるなんて
    ひどいですね。
    リリアナ…カリスト君に何をしたんだ…
    前文をみると男がらみじゃなくて
    お金がらみのような気がしますが。
    カリスト君を文無しにした原因をつくっちゃったとか?

    >「あなたはとても長い間、『本物の男』じゃなくなるわ」
    あほな訳を考えてしまいました…「切り落とすわよ」
    FF7風に。

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  2. ちょっと訳文が分かりにくかったですね、すみません。ガリエルくんではなくて、後ろから他の人が刃物振り下ろしてきたシーンなのです。
    原文再現にあまり執着せずに日本語的にもう少し主語などを補足したほうがよかったですかも。

    リリアナさんの目的やなにをしたのか…それはサンプルを越えたもうちょっと先で明らかになります。といいますか、サンプルを見た範囲ではまだ内容がよく把握できず、これをサンプルにして大丈夫なのか?と心配になってきます。

    リリアナさんの好み…やはりコミックで出てきたお兄ちゃんみたいな人がタイプと思うんですがどうでしょう。お兄ちゃんも結構イケメンですべすべ系だったような。

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